業務を改善・効率化するスペシャリストとして注目を集めるRPAエンジニア。プログラミングスキルを必須とせず未経験からでも目指しやすい職種なことから、最近特に人気を集めていますね。
ただ、気になってはいるものの、
「RPAエンジニアって何する仕事なの?」
「目指したいけど、年収や将来性が気になる…」
「未経験から就職や転職するにはどうしたらいいの?」
と悩んでいる方も多いはず。
実際に目指すなら、RPAエンジニアがどんな仕事をするのか?年収はどれくらいなのか?将来性はあるのか?など、詳しい事情は知っておきたいですよね。
そこで今回は、RPAエンジニアの仕事内容から将来性、なるために必要なスキルや就職・転職のキャリアパスまで詳しくご紹介します。
この記事を読めば、あなたにとってRPAエンジニアが最適な職業なのかを判断できるだけでなく、どうやって未経験からなるのかも理解できますよ。
RPAエンジニアとは?
RPAエンジニアとは、RPAツールを活用して業務の改善・効率化システムを設計・開発・運用する技術者です。別名、仮想知的労働者(デジタルレイバー)とも呼ばれていますね。
「毎日この作業するの面倒だなぁ…」「自動化できればいいのに…」などと働く人が抱える悩みを解決するのがRPAエンジニアの役割です。
具体的に言えば、データのダウンロードや表の作成・メール送信といった「重要だけど手間のかかる作業」を、代行するシステムを設計・開発・運用する仕事になります。
RPAエンジニアは、「猫の手でも借りたい」と切望する働き手の作業パフォーマンスを飛躍的に高める現場に欠かせない助っ人なのです。
RPAエンジニアの仕事内容
RPAエンジニアは、下記1~4の手順に沿って仕事を行います。
- クライアントへのヒアリング
- ヒアリングした内容をもとにシナリオ設計する
- 設計したシナリオをもとにシステム開発する
- 開発したシステムを導入・運用・保守する
1つひとつの仕事をバラバラに理解するのではなく、1~4の順序で頭に入れるとRAPエンジニアの仕事がイメージしやすくなりますよ。
ではそれぞれ解説していきますね。
1.クライアントへのヒアリング
まず、RPAエンジニアはクライアントへのヒアリングを通じて、業務の改善・効率化に必要な情報を集めます。
必要な情報としては、今どのような流れで仕事を行っているのか、普段仕事をしている中で不便に感じたり「もっとこうなったらいいのに…」と感じる点などです。
現状やクライアントの要望があいまいなまま作業を進めては、「クライアントが働きやすい仕組みづくり」を担うRPAエンジニアの本文が果たせませんからね。
また、ヒアリングの内容をもとに作業の方針を決めるため、RPAエンジニアにはクライアントの要望や理想を的確に聞き出すコミュニケーション能力が求められますよ。
2.ヒアリングした内容をもとにシナリオ設計する
次に、RPAエンジニアはヒアリングした内容をもとに開発するシステムのシナリオを設計します。
クライアントの要望に適したシステムが作れるよう、「何の業務をどのように改善するのか」を明らかにした設計図を作るわけです。
ここで設計したシナリオをもとにシステムの開発を進めるため、ヒアリングした内容とズレていたり、開発手順があいまいでは一大事になります。
そのため、クライアントの要望に適したシステムを円滑に開発できるよう、具体的なシナリオ設計が必要ですよ。
3.設計したシナリオをもとにシステム開発する
設計したシナリオをもとにシステム開発するのも、RPAエンジニアの仕事です。
RPAエンジニアにはRPAツールを使って設計したシナリオを忠実に再現する開発スキルが求められます。クライアントへのヒアリングや要望に沿う設計図を作れるだけでは、技術者とは呼べませんからね。
クライアントが利用した際にエラーやトラブルが起こらないよう、穴のないシステムが作れるかは、RPAエンジニアに重要な仕事になります。
4.開発したシステムを導入・運用・保守する
RPAエンジニアの仕事は、「システムを開発したら終わり」なんてことはありません。
開発したシステムの導入から実際に業務が改善・効率化できたかどうかの確認、利用中にどらブルがあった際の対処などもRPAエンジニアが担当する重要な仕事です。
業務の改善・効率化を実現するのが、RPAエンジニアの務めですからね。クライアントの利用中にトラブルが起きれば、すぐさまシステムの修正を行います。
クライアントの業務改善・効率化に必要な一連の工程へ関わるのが、RPAエンジニアの仕事なのです。
RPAエンジニアの平均年収は約590万円
RPAエンジニアの仕事内容が理解できた方の中には、
と気になっている方もいますよね。
下に、RPAエンジニアの平均年収を、システムエンジニア・会社員全体の年収と比較できるようまとめてみました。
平均年収 | |
---|---|
RPAエンジニア | 約598万円 |
システムエンジニア | 約551万円 |
会社員の平均年収 | 約436万円 |
出典元:求人ボックス給料ナビ、厚生労働省「平成29年 賃金構造基本統計調査」、国税庁「令和元年分 民間給与実態統計調査」
上の表から、RPAエンジニアの平均年収はシステムエンジニアや一般会社員の年収よりも高い年収に位置しているのがわかります。これは、「ITの力で業務の改善や効率化を図りたい」と望む企業が多いことに他なりません。
また、仕事をする以上「業務をより良く改善・効率化したい!」という気持ちは不変なため、RPAエンジニアの年収は今後も高くなるといえますね。
RPAエンジニアに必要なプログラミング言語
冒頭でも軽く触れましたが、RPAエンジニアに「このプログラミング言語を習得しなければならない」といった必須の言語はありません。
とはいえ、扱うRPAツールによってはプログラミング言語が必要になる場合もあります(下の表)。
RPAツール | 必要なプログラミング言語 |
---|---|
UiPath | VB.NET |
WinActor | VBScript |
RPAエンジニアとして活躍するなら、VB.NETやWinActorといったプログラミング言語の習得をおすすめします。
ただ、VB.NETやWinActorはプログラミング言語の中でもマイナーな言語です。そのため、いきなりマイナーな言語が習得できるか不安な方は、VBAや開発言語としてメジャーなPythonを学ぶと良いですよ。
RPAエンジニアに必要な3つのスキル
先にて解説したRPAエンジニアの仕事を卒なく行うためには、次3つのスキルが必要です。
- コミュニケーション能力
- 課題の特定・解決能力
- RPAツールを扱う技術力
RPAエンジニアの仕事内容を頭に思い浮かべながら読んでいただくと、必要なスキルのイメージが湧きやすくなりますよ。
ではそれぞれ解説していきます。
コミュニケーション能力
コミュニケーション能力は、RPAエンジニアに欠かせない能力の1つです。
クライアントに対して適切なヒアリングができなくては、要望に沿うシステムを開発できませんからね。
今どのような流れで仕事を行っているのかという現状把握はもちろん、業務の中で改善・効率化したい点を的確に聞き出せるかどうかは、RPAエンジニアのコミュニケーション能力次第です。
また、円滑なコミュニケーションはクライアントとの良好な信頼関係にも繋がります。コミュニケーション能力なくして、RPAエンジニアの仕事は務まらないですね。
課題の特定・解決能力
RPAエンジニアには、現状の課題を特定し、解決する能力も求められます。クライアントが今以上に働きやすいよう、業務を効率化するシステム作り、RPAエンジニアの最たる務めだからです。
そのためには、「これを改善することが業務を効率化する一番の近道」といえる課題を見つけ出す特定能力が欠かせません。
また、同時に特定した課題をできるだけ少ない費用で解決するシステムの構想も求められます。クライアントが抱える悩みを的確に改善できるかどうかは、RPAエンジニアの課題を特定・解決する能力次第で決まるのです。
RPAツールを扱う技術力
RPAツールを扱う技術力は、言わずもがな。RPAエンジニアに必要な能力です。RPAツールを扱えなくては、業務を改善・効率化するシステムが開発できませんからね。
RPAツールにはさまざまな種類がありますが、次の有名なツールが扱えればRPAエンジニアとして卒なく仕事ができますよ。
- UiPath
- WinActor
- Blue Prism
- BizRobo!
また、AccessやExcel VBAといったツールの活用経験も、RPAエンジニアが仕事をするのに役立ちます。
RPAツールを扱う技術力は、業務を改善・効率化するシステムの開発に欠かせない能力です。
RPAエンジニアに資格は必要?
結論、RPAエンジニアになる上で必要な資格はありません。RPAエンジニアの仕事に「この資格がないとできない」といった業務はないからです。
しかし、「RPAの認定資格」は、RPAエンジニアへの就職や転職・フリーランスとして案件を獲得する際などに信頼へ繋がる武器になります。
そのため、就職や転職を有利に進めたい方は、次のRPA認定資格を取得しておくと良いですよ。
- RPA技術者検定 アソシエイト
- RPA技術者検定 エキスパート
- UiPath RPA アソシエイト資格試験
- UiPath RPA デベロッパー上級資格試験
RPAエンジニアって実際どう?きつい?やりがいあるの?
とRPAエンジニアの実態が気になっている人は多いはず。
RPAエンジニアを目指すなら、実際に働いている人がどう感じているのかは知っておきたいですよね。そこで下記からは、RPAエンジニアとして働く人の口コミを紹介しながら、その実態に迫っていきます。
上の口コミから、クライアントに喜ばれるのはRPAエンジニアのやりがいに繋がるようです。
もちろん、「喜ばれることを想像しながら仕事に取り組む」からこそ、やりがいが感じられるともいえますね。
また、RPAエンジニアの仕事は日々トライアンドエラーの連続です。クライアントの要望に沿うシステムを開発するには、試行錯誤が欠かせないようですね。
「上手くいかない=失敗」と捉えてしまう人には、トライアンドエラーの繰り返しがストレスに感じられるかもしれません。
RPAエンジニアの今後や将来性、需要
結論、RPAエンジニアの需要は現在、そして今後も増加する可能性が高いです。
これは、上記で軽く触れた「ITの力で業務の改善や効率化を図りたい」と望む企業が多いこと、そして仕事をする以上「業務をより良く改善・効率化したい!」という気持ちが不変なためです。
また、総務省が2021年(令和3年)に発表した「自治体におけるAI・RPA活用促進」によれば、民間の企業だけでなく政府や自治体などの公的機関もRPAの活用を推進しています。
つまり、今の日本では書類によるデータ管理のクラウド化、データ入力の自動化といった「IT技術を活用した業務・作業の効率化」が急ピッチで進られているわけです。
もちろん、「IT技術を活用した業務・作業の効率化」を実現するには、RPAエンジニアの存在は欠かせません。
前述した通り、RPAエンジニアは業務や作業の効率化を実現するシステムの設計から開発、運用・保守を担当します。そのため、IT化を進める現在はもちろん、IT化の実現後もRPAエンジニアの需要は増え続けると言えるのです。
RPAエンジニアへ就職・転職するためのキャリアパス
いざRPAエンジニアへ就職・転職しようにも、道のりがわからなくては目指しようもないですよね。
また、RPAエンジニアになるなら、遠回りせずできれば最短で職に就きたいと望んでいる人は多いはず。そんな方は、次のキャリアパスを参考にRPAエンジニアへの就職・転職を目指すと良いですよ。
上画像を見ればわかるように、RPAエンジニアへの就職・転職を目指すなら、エンジニアとして開発経験を積みながら、RPAに関する知見を深めるのがおすすめです。
エンジニアの実務や開発工程を1通り経験した状態でRPAエンジニアになれば、就職・転職してからも即戦力として活躍できますよ。エンジニアとしての経験を積みながら、RPAに関する知見を学んでおくとなお良いですね。
独学でもRPAエンジニアへ就職・転職できるの?
結論、独学のみでRPAエンジニアへ就職・転職するのは困難です。
上記でも解説したように、RPAエンジニアの仕事は実務経験なしには務まりませんからね。また、仮に独学した後でRPAエンジニアを名乗っても、実務経験や実績といった目に見える成果がなければ「自称RPAエンジニア」になるだけです。
そのため、エンジニアとして開発経験を積みつつ、RPAに関する知見を独学で深めるのが良いですね。
未経験からでもRPAエンジニアへ就職・転職できるの?
RPAエンジニアへの就職・転職は、未経験からでも可能です。何かを始める、目指す時のスタートラインは誰もが未経験ですからね。
とはいえ、RPAエンジニアに関する知見やスキルが0の状態でいきなり就職・転職を目指しても、ポテンシャル採用を積極的に行う企業でない限りなれる可能性が低いケースもあります。
そのため、上記のキャリアパスを参考にエンジニアとして実務経験を積んだ後、RPAエンジニアへの就職・転職を目指すと良いですよ。
フリーランスのRPAエンジニアとして副業できるの?
RPAエンジニアがフリーランスとして独立・転身を果たすのは可能です。上記で解説した通り、RPAエンジニアの需要は現在そして今後も右肩上がりに増え続けていきますからね。
とはいえ、会社に所属しないフリーランスのRPAエンジニアが理想の報酬や仕事を獲得できるかどうかは、自身のスキルや実績次第です。
下の引用からもわかるように、仕事を依頼する企業へ証明できるスキルや実績があれば、フリーランスのRPAエンジニアとして十分に活躍できますよ。
フリーランスの場合、得られる報酬は、本人の能力に比例する。最新の技術を保有し、高い開発能力を持つなど、需要が高い人材には高い報酬が支払われることになる。
フリーランスの収入は、個々に契約した仕事に対して支払われる報酬で成り立っているため、年功序列による年齢や勤続年数の影響を受けない働き方と言える。
IT人材白書2016
まとめ
今回は、RPAエンジニアの仕事内容から将来性、なるために必要なスキルや就職・転職のキャリアパスまで紹介しました。
RPAエンジニアは、「IT技術を活用した業務・作業の効率化」を進める日本に欠かせない存在です。ただ将来性がある一方、理想の仕事や報酬を獲得できるかは、自分のスキル次第で決まります。
そのため、先のキャリアを見据えながら必要なスキルや実績、進むべき企業を決めると良いですよ。