「契約書ってどうしたらいいの?」
「契約書ってなにを書けばいいの?」
「そもそも契約書って必要?」
これからフリーランスを目指す方、フリーランスとして独立したての方は、上記のような疑問を持っている方も多いことでしょう。
普通に会社員として働いていれば、あまり契約書を作成する機会は少ないです。
しかし、フリーランスデザイナーにとって、契約書は大変重要となります。
契約書について深く理解しておくと、余計なトラブルを回避でき、頭を悩ませるストレスから解放され、自由に仕事ができることが可能です。
そこで、今回はフリーランスデザイナーが契約書で確認すべき9つの項目を、契約書無しのリスクや作成時の注意点も交えて紹介します。
本記事を読み終える頃には、契約書の重要性・作成方法・作成時の注意点が理解でき、あなたがフリーランスデザイナーとして契約書を作成する準備が整っているでしょう。
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フリーランスデザイナーに契約書は必要?
フリーランスデザイナーにとって、仕事を受けるのに契約書が必ず必要というわけではありません。
しかし、契約書を締結しておけば、次のようなトラブルを回避できます。
- 報酬が支払われない
- 何度も修正を要求されて対応に時間がかかった
上記のようなトラブルは、契約書という契約した証拠が残っていないから起こるものです。
クライアントに成果物を納品しても、先方が「契約していない」と報酬の支払いを断られるリスクがあります。
また契約書を作成しないと、契約内容が明らかになりません。
どんな成果物を望んでいるか明確化されていないので、何度も修正を要求されてしまう可能性もあります。
安心して仕事をするために、契約書は作成しておいた方がいいでしょう。
契約書を交わさないフリーランスデザイナーが抱える3つのリスク
ここからは、契約書を交わさない場合のリスクを、3つにまとめて紹介します。
フリーランスデザイナーには、どれも致命的なリスクとなってしまうので、ここで確認しておきましょう。
リスク1:報酬が得られない
悪質なクライアントだと、依頼された成果物を納品したにもかかわらず、報酬の未払いが発生するリスクがあります。
契約書を用いて取引をしていなければ、法律上報酬を支払う義務が発生せず、適切な報酬を受けられません。
報酬が得られないと、あなた自身の生活が厳しくなることも考えられますし、時間の無駄となってしまいます。
フリーランスとして重要なことは自分自身の価値を高め続けることですので、報酬が支払われないということがないように、クライアントと取引をする際は必ず契約書を作成してください。
クライアント側が単純に契約書について失念している場合もあるので、仕事を受注する際は必ずクライアントに確認しましょう。
リスク2:途中で案件を打ち切られる
クライアントの都合で、進行中案件が途中で打ち切られるリスクもあります。
これは契約書面によって契約期間や他条件などを定めていないので、途中で打ち切ってもク
ライアント側が法律違反したことにならないためです。
進行中案件を勝手に途中で打ち切られれば、報酬が得られず、作業も無駄になってしまいます。
また再度、新規案件を獲得するために、労力を費やさなくてはいけないことでしょう。
相手側の都合で、生活が苦しくなったり、仕事のリズムがくるってしまうのはフリーランスデザイナーにとってストレスです。
そのため、あなた自身の生活を守る為にも契約書は必ず作成し、契約期間や解約条件などの詳細にわたる契約内容を明確に定めておきましょう。
リスク3:取引先と裁判沙汰になる
契約書を作成していなかったことで、裁判沙汰になるケースもあります。
通常、トラブル発生時は、契約した時にお互いの同意があって作成した契約書に基づいて話を進めますが、契約書がなければ水掛け論にしかなりません。
最悪、裁判沙汰になってしまうことでしょう。
裁判沙汰になれば、お金も時間も無駄にしてしまうのはもちろん、法で裁かれるようなことがあれば、あなたのその後の人生に影響しかねません。
なので、クライアントとの信用に関わらず、後々面倒なことにならないように、契約書は作成しておきましょう。
契約書には、納品物や業務内容に対してどこまで責任を負うのかを定めておきましょう。
自分が被るリスクを最低限に抑えることが大切です。
フリーランスデザイナーが結べる契約の種類
フリーランスデザイナーが結ぶ契約は業務委託契約です。
企業に勤めるサラリーマンと違い、フリーランスは企業と雇用契約を結ばず、仕事を委託されて引き受けます。
誰かが誰かに仕事を頼むことを業務委託と呼び、フリーランスは業務委託契約を結ぶのが一般的です。
業務委託契約にはおもに次の2つがあります。
どちらにも、メリット・デメリットがあり、作業内容やクライアントによって結ぶ契約の種類は分けた方がいいでしょう。
それぞれ詳しく解説するので、詳しく知りたい方はぜひ読んでみてください。
委任契約
委任契約とは、業務の遂行を目的として結ばれ、契約に沿って業務を行えば成果物がなくても報酬が支払われる仕組みです。
厳密に言うと、委任型の業務委託契約は「委任」と「準委任」に分かれます。2つの違いは下記のとおりです。
- 委任契約:法律好意を含む仕事
- 準委任契約:法律以外の行為
フリーランスデザイナーは、委任契約が扱われるケースは比較的少ないですが、扱われるケースもあります。
例えば、ある案件を『この工程をこの手順でここまで終わらせて欲しい』と、フリーランスデザイナーに任せる場合などです。
委任契約は、独立直後で案件単価がまだ低い人や、時給や日給での報酬形態を好む人におすすめの契約です。
委任契約のメリット・デメリットは次の通りです。
メリット | ・時間を気にせず得意分野の作業に取り組める ・最終的に完成品を仕上げることを考えずに済む |
デメリット | ・クライアント側から作業工程・内容を縛られる ・労働基準法によって守られるわけではない |
請負契約
働いた時間分の報酬が支払われる委任契約に対して、請負契約とは成果物の対価として報酬が支払われます。
つまり、業務が途中になってしまった場合や完成したものの成果が出ないときには、対価が発生しません。
フリーランスデザイナーの場合、基本的に請負契約で業務を委託されることがほとんどです。
例えば、『この案件を〇〇万円で受けてくださる方いますか?』とフリーランスデザイナーを探している場合を想定しましょう。
この場合、フリーランスデザイナーは受注をして納期を設定し、納品次第で報酬を受け取ります。この形が請負契約です。
請負契約は、案件単価が高く自分自身のスキルに自信があったり、完全歩合での働き方を好む人におすすめとなります。
メリット | ・スキル次第でいくらでも報酬を上げられる ・作業工程・内容を自分で決める事ができる |
デメリット | ・成果主義なので常に納期に追われる ・仕事の効率が悪いと報酬が低くなる |
フリーランスデザイナーが契約書で確認すべき項目
いよいよここからは、フリーランスデザイナーが契約書を作成する時に確認すべき項目9選を紹介します。
契約書で確認すべき項目が抜けてしまえば、契約書の効果が薄れ、後にトラブルに発展したり、あなたが損をする可能性を高めてしまうので、以下9選は必ず契約書で確認するようにしましょう。
フリーランスデザイナーが契約書で確認すべき項目は以下の9つです。
それぞれ詳しく解説していくので、ゆっくり読み進めてみてください。
契約形態
まず契約形態を確認しましょう。
先述した通り、フリーランスデザイナーの雇用形態は2種類あります。
それぞれ働き方に特徴があり、報酬制度も異なるので、契約書に雇用形態の記載がなければ、後に金銭的なトラブルに発展する可能性が高いです。
認識の相違によるトラブルを防ぐためにも、契約書では必ず受ける案件がどちらの雇用形態で受注するのかを確認してください。
契約内容
請け負う業務内容・作業内容を明確に確認しましょう。
もちろん、クライアントとの認識の違いによるトラブルを防ぐ為でもありますが、契約内容が記載されてないと、下記のトラブルが発生してしまう可能性があります。
- 不当に追加で業務を依頼される
- 不当な作品の不備を指摘される
もし、具体的に業務内容が決めにくい場合は「甲・乙間で合意した業務」など、後ほど話し合いによって追加できるような記載をしておきましょう。
契約期間
契約期間を業務に取り組む前に事前に定めておきましょう。
契約期間を確認しておかないと、突然契約を解除されたり、納期を超えているなど不当な難癖をつけられ、トラブルに発展してしまう可能性があります。
また、契約期間の確認と共に契約更新、契約解除の条件も記載してください。
もし長期契約なのであれば、解除の申し込みがない限り自動更新としておくと、今後の契約手続きの手間が省けます。
たとえば、「どちらかの申し出がない限り、契約は自動で延長される」などの文言です。
フリーランス側は、自分が責任を持って受託できる期間で契約を結びましょう。
報酬の支払い
報酬を受け取る為の条件・報酬金額・支払日・支払い方法も明確に確認しておきましょう。
契約書における、報酬に関する内容は特に重要となります。
契約関連で1番多いのがお金に関するトラブルです。
フリーランスにとって報酬の有無は生活に直結してしまいます。
契約書に報酬の支払いについて明記されていないと、作品の対価となる報酬がもらえない可能性が高いです。
そのため、下記のような細かいところまで相違で合意を取り、できるだけ詳細に記載してください。
- 振り込み手数料はどちらが負担するのか
- 消費税額の扱い
- 源泉徴収のありなし
- 着手金の有無
経費の支払い
契約書では確認を怠りやすい、経費の支払いに関してもしっかりと定めておきましょう。
なぜなら、発生した経費を誰がどのように負担するか明確にしておかないと、自動的にあなたのポケットマネーで支払うことになり、後にクライントに請求することはできなくなってしまうためです。
あなたが経費を支払うとしても、お金に関わることですので、契約書で確認しておきましょう。
フリーランスデザイナーであれば、次のような経費が考えられます。
- 交通費
- 通信費
- 備品の購入費
これらは業務内容によって金額が大きくなる可能性があります。
発注側か、それとも受託者が負担するのかを慎重に協議しましょう。
成果物の著作権
成果物の著作権がどちらに帰属するのかを明確にしておきましょう。
契約書に著作権についての確認がないと、制作後に成果物の権利を争うことになってしまったり、制作後に他社で無断使用されたりすることにも繋がります。
フリーランスデザイナーの多くが、成果物を納品した後、報酬を受け取った時点で、クライアント側に著作権が移るケースがほとんどです。
しかし、フリーランス側が不利にならないように、クライアントとしっかり話し合い、誰が著作権を持つのかを明確に定めておきましょう。
機密保持
業務に携わることによって知り得た情報に関して、秘密保持が必要な場合は「秘密保持」の項目を設けましょう。
機密保持を定めていないと、業務上での情報の不正利用や第三者への口外の危険性があり、トラブルに発展してしまう可能性が極めて高くなります。
とくに個人情報や知的財産が関係している業務には一層注意が必要です。
機密保持の契約を結ぶ分、あなた自身も注意をしなければいけませんが、もしクライアント側が違反した場合に損害賠償請求ができるので、大変重要な項目になります。
より細かく定めたいクライアントによっては、業務委託契約書とは別に「秘密保持契約書(NDA)」を用意することがあるので確認しておきましょう。
損害賠償
業務上でトラブルが起きた時の為に、損害賠償の範囲と上限額についても定めておきましょう。
ビジネス上でトラブルが起きた時は、契約書に基づき解決するのが最適です。
逆に、契約書に損害賠償について明確化されていないと、トラブル発生時に何を基準に判断すれば良いか分からず、裁判沙汰になってしまうこともあります。
フリーランス側も、損害賠償を明確にする分、機密保持や納期、著作権に注意して業務に取り組む必要があります。
フリーランスにおいて発生しうる損害には次のようなものが考えられるでしょう。
- 作業遅延による損害
- 品質の悪さによる損害
- 機密情報漏洩による損害
- 著作権侵害
- 預かった第三者の財物の破壊
管轄裁判所
トラブルが起きた時に、クライアント側と二者で解決できないときの為に管轄裁判所についてもしっかり定めておきましょう。
話し合いでは解決できないトラブルが起きた場合に、利用する裁判所をどこにするか決めておくのが管轄裁判所という項目になります。
フリーランスとクライアント(企業)が、裁判沙汰になるケースも少なくないです。
管轄裁判所の記載がないと、トラブル発生後に裁判所を選ぶことになり、余計な手間が増え、さらにトラブルが起きる可能性だってあります。
管轄裁判所の設定は、お互いの中間地点付近にある裁判所を設定しておくのが一般的です。
フリーランスデザイナーがすぐ使える契約書のテンプレート
契約書に記載する項目は理解できましたでしょうか?
いざ作成するとなると、
「手が動かない…難しい…」
「言葉遣いがわからない…」
というように、記載すべき項目が抜けたり、難しくて手が動かないという方も多いでしょう。
ですので、まずはテンプレートを使用して慣らしていくことをおすすめします。ここでは以下2つのおすすめの契約書テンプレートを紹介しますね。
bizocean
bizoceanは、契約書の他にも請求書や見積書のサンプルもあり、契約書のサンプルの数は120種類以上も置かれているので、あなたに合ったテンプレートが見つかるでしょう。
有識者さんが作成した契約書も見ることができるので、とても参考になります。
色々なパターンの契約書を拝見してから自分の契約書を作成したい方には特におすすめのサービスです。
会員登録さえすれば、すべて無料でダウンロードできるので、是非利用してみてくださいね。以下にbizoceanの公式サイトを載せておきます。
文例書式テンプレート集
文例書式テンプレート集は、word形式でダウンロードができるテンプレートになっています。
契約書のテンプレートも数多くあり、どのような契約書を作成したいか状況別に検索もできるので、あなたにあった契約書テンプレートが見つかるはずでしょう。
各テンプレ、すぐにダウンロードできるようになっているので、今すぐwordで契約書を作成したい方には特におすすめのサービスです。
すべて無料でダウンロードできますし、以下に文例書式テンプレート集を載せておくので、是非利用してみてくださいね。
フリーランスデザイナーが契約前後に用意すべき書類
ここまで読んだあなたは、
「作成するのは契約書だけでいいの?」
「契約書だけなら作成できそう!」
と思っている方も少なくないでしょう。
しかし、フリーランスデザイナーが案件を受注するには、契約前後に以下2つの書類も作成する必要があるんです。
基本的に、見積書が契約前、請求書が契約し納品後の作成になりますが、それぞれクライントワークをする上では必須なものになりますので、以下でそれぞれ解説していきますね。
見積書
見積書は契約書を作成する前の相手側に仕事を受けた際にどのくらいの金額がかかるのかを確認する書類になります。
契約を結ぶ際や結んだ後にトラブルを起こさない為の大変重要な過程です。また、正式な見積書は自分の信頼性を上げるものになるので、営業ツールにもなるんですね。
ですので、フリーランスデザイナーは見積書も正しく作成できなければいけないんですよ。
見積書の作成方法に関しては以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてくださいね。
請求書
請求書は作品を納品後に相手側から報酬を受取る為に必要な書類です。
請求書が正しく作成できないと、報酬が受け取れなかったりトラブルになる可能性もあります。
案件の最後に提出する書類になるので、相手側と気持ちよく仕事を終える為にも正しい請求書を作成できるようになりましょう。
請求書の作成方法は以下の記事で詳しく解説していますよ。
→もう失敗しない!フリーランスデザイナーの請求書の書き方からおすすめサービス3選も紹介
1人で契約書を作成できるか不安な人は
先ほど解説したとおり、交わした契約書に不備があると契約を途中で打ち切られ報酬を獲得できないことや裁判沙汰になるケースもあります。
一度交わした契約に不備があれば、案件にかけた時間や手間を無駄にするだけでなく「こんな調子でフリーランスとしてやっていけるのかな…」と今後のフリーランス活動への不安や支障を招きかねません。
「1人で契約書を作成できるか不安…」
「トラブルには巻き込まれたくない…」
そんな不安を感じている人は、フリーランス向けのエージェントサービス「フリーランスのミカタ」をご活用ください。
フリーランスのミカタは、通常のサイトには掲載されていない15,000以上の非公開案件と高単価なフルリモート案件を豊富に取り揃えるフリーランス向けのエージェントサービスです。
案件探しの代行はもちろん、専門の担当者に相談しながら契約書の作成を進められます。
フリーランスのミカタを活用すれば、トラブル等に見舞われることなくフリーランスデザイナーとして活動できますよ。
フリーランスのミカタがどんなサポートを行っているのか詳しく知りたい人は、公式サイトをご覧ください。
まとめ
本記事では、フリーランスデザイナーが契約書に記載すべき項目について解説してきましたが、理解できましたでしょうか?
改めて、契約書に記載すべき項目は以下の9つです。
- 契約形態
- 契約内容
- 契約期間
- 報酬の支払い
- 経費の支払い
- 成果物の著作権
- 機密保持
- 損害賠償
- 管轄裁判所
解説してきた通り、どれも大変重要な項目ですので、抜けのないようテンプレートも使用しながら、正しい契約書を作成できるようになってください。
本記事があなたのフリーランスデザイナーとしての助力になれれば幸いです。