「セキュリティエンジニアの将来性って実際どうなの?」
「AIに仕事を奪われたりしないかな?」
セキュリティ領域へのシフトや独立を考えるとき、需要が今後も続くのか気になる方もいるでしょう。
結論からいうと、公的統計や市場予測を見る限り、セキュリティエンジニアは将来性の高い職種と考えられます。ただし、伸びる領域とそうでない領域の見極めが重要です。
そこで本記事では、セキュリティエンジニアの将来性を裏づける需要データと、「AIに代替される」という説の検証結果を紹介します。あわせて4つのキャリアパスと、これから伸びる領域のスキル戦略も解説するので、ぜひ参考にしてください。
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【結論】セキュリティエンジニアの将来性は高い|3つの需要データ
結論として、セキュリティエンジニアの需要は今後も続く見通しです。根拠となるのは、次の3つの客観データです。

いずれも「将来性が保証される」という話ではありませんが、需要の土台が構造的に続くことを示すデータです。順番に見ていきましょう。
セキュリティ人材はどれくらい不足しているのか
セキュリティ人材の不足は、世界規模で数字に表れています。
ISC2「2024 Cybersecurity Workforce Study」(2024年発表)によると、世界のセキュリティ従事者は約550万人です。それに対して、必要数とのギャップは約476万人と推計されました。前年から19%も拡大した計算です。
続く2025年版の同調査(2025年12月発表)では、論点が「人数の不足」から「スキルの不足」に移りました。回答者の95%が、所属チームに何らかのスキルギャップがあると答えています。頭数を揃えるだけでは埋まらない、質的な不足が続いている状況です。
国内に目を向けると、経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2019年公表)では、2030年にIT人材が最大約79万人不足すると試算されています。この数値はセキュリティ人材に限ったものではなく、IT人材全体の推計です。
とはいえ、母集団となるIT人材そのものが不足するなかで、専門性の高いセキュリティ人材の確保は一段と難しくなるといえます。
実務3〜5年のエンジニアにとって、この需給ギャップは追い風です。採用市場でも案件市場でも、スキルを証明できる人材ほど選べる立場に近づきます。
セキュリティ市場はどれくらい成長しているのか
人材だけでなく、市場そのものも高い成長が見込まれています。IDC Japanの予測(2025年5月発表)によると、2024年の国内セキュリティソフトウェア市場は5,861億円で、前年比14.6%増でした。
さらに2024〜2029年は年平均12.0%で成長し、2029年には1兆307億円に達すると予測されています。成長の背景にあるのは、セキュリティ投資の位置づけの変化です。
かつては「かけたくないコスト」と見られがちでしたが、現在は事業継続を左右する経営課題として扱われています。経済産業省とIPAが公表する「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」(2023年にVer3.0へ改訂)でも、経営者主導の対策やサプライチェーン全体の管理が求められました。
企業が経営課題としてセキュリティ予算を確保し続ける限り、その担い手であるエンジニアの需要も市場と連動して伸びやすい構造です。
サイバー攻撃の脅威はどう変化しているのか
需要の源泉であるサイバー攻撃は、収まるどころか高度化が続いています。IPA「情報セキュリティ10大脅威 2026」(2026年1月発表)では、組織向け脅威の1位が「ランサム攻撃による被害」、2位が「サプライチェーンや委託先を狙った攻撃」でした。
さらに同年版では「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が初めて選出されています。被害の実数も高止まりしています。警察庁の発表(2026年公表)によると、2025年の国内ランサムウェア被害報告件数は226件でした。
過去最多だった2022年の230件に次ぐ水準です。侵入経路はVPN機器経由が6割を超えており、境界防御だけでは守り切れない実態がうかがえます。
攻撃側はRaaS(ランサムウェアのビジネスモデル化)やAIの悪用で攻撃コストを下げ続けています。攻撃が高度化・低コスト化する限り、防御側の専門人材が不要になる構造は考えにくいでしょう。
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「セキュリティエンジニアに将来性がない」と言われる3つの説を検証

需要データが好調な一方で、「セキュリティエンジニアに将来性はない」という声も検索上では見られます。ここでは代表的な3つの説を、「言われる理由」と「実際どうか」に分けて検証します。
AIに仕事を奪われるって本当?
「AIに代替される」と言われる理由は、定型業務の自動化が実際に進んでいるからです。SOC(セキュリティ監視センター)でのアラートの一次判定やログ分析は、AIやSOAR(対応自動化ツール)への置き換えが進んでいます。
一方で、仕事全体がなくなるという見方は現時点のデータからは裏づけられません。ISC2の2025年調査でも、課題の中心は人員削減ではなくスキルギャップの拡大でした。
自動化の結果として、AIの出力を評価して対応を判断する人材や、自動化の仕組み自体を設計する人材の需要はむしろ高まっています。
さらに、AIは守る対象にも攻撃の道具にもなります。前述のとおり、IPAの10大脅威2026には「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が初選出されました。
AIの普及はセキュリティの仕事を減らすより、新しい領域を生む方向に働いているのが実態です。まとめると、「定型作業はAIに移り、判断と設計は人に残る」というのが現時点での妥当な見通しです。
セキュリティツールの普及で不要になるのでは?
EDRやSIEMなど高機能ツールの普及を根拠に、「ツールを入れれば人は要らない」と言われることがあります。しかし実務では、ツールは導入して終わりではありません。
自社環境に合わせた検知ルールのチューニング、誤検知の切り分け、検知後のインシデント対応は人の仕事です。運用設計が甘いままツールだけ増えて、アラート対応が回らなくなる現場は珍しくありません。
むしろツールが増えるほど、自社に必要な製品を選定し、運用まで設計できる人材の価値は上がります。ツールの普及は「手を動かすだけの仕事」を減らし「使いこなす側の仕事」を増やしていると捉えるのが実態に近いでしょう。
需要が一部の人材に偏るのでは?
3つ目は「需要はあっても、恩恵を受けるのは一部の人材だけではないか」という説です。これは一定の妥当性がある指摘といえます。
定型的な監視・運用作業は自動化やアウトソースの影響を受けやすい領域です。一方で、要件定義や設計などの上流工程、インシデント時の判断ができる人材には需要が集中しやすくなります。
つまり「作業だけの人材」と「判断できる人材」の二極化が進む可能性があります。
だからこそ重要なのは、職種全体の将来性よりも、自分がどの領域にポジションを取るかです。後述の「将来性を高めるスキル戦略」で、これから伸びる領域を具体的に紹介します。
セキュリティエンジニアの4つのキャリアパス

実務3〜5年の時点で「次の5年」をどう描くかによって、市場価値の伸び方は変わります。ここでは代表的な4つのキャリアパスを紹介します。それぞれ、向いている人と市場での需要、有効な資格の例をまとめました。
スペシャリスト(脆弱性診断・ペネトレーションテスト・フォレンジック)
技術を極めたい場合は、スペシャリストの道が第一候補です。脆弱性診断やペネトレーションテスト(疑似攻撃による検証)、フォレンジック(侵害後の調査)は、高度な専門性が求められる分、代替されにくい領域といえます。
手を動かして攻撃者視点で考えることが好きな人に向いています。診断系の人材は慢性的に不足しており、案件単価も高くなりやすい傾向です。資格では情報処理安全確保支援士やOSCP、CEHなどがスキルの証明に使われています。
セキュリティコンサルタント
上流工程に進みたい場合は、セキュリティコンサルタントが選択肢になります。企業のリスク評価、セキュリティ戦略の立案、規程類の整備など、経営に近い立場で対策全体を設計する仕事です。
技術の背景を持ちながら、経営層や非エンジニアに分かりやすく説明できる人に向いています。セキュリティが経営課題化した流れを受けて、事業会社・コンサルファームの双方で需要が伸びている領域です。
資格ではCISSPが国際的な証明として評価されています。
マネジメント・CISO候補
組織側でキャリアを積むなら、セキュリティチームのマネジメントを経てCISO(最高情報セキュリティ責任者)を目指す道があります。インシデント対応体制の構築、予算の確保、人材育成など、組織のセキュリティ機能全体に責任を持つ立場です。
技術と組織運営の両方に関心がある人に向いています。経営ガイドラインが経営者の関与を求めるようになり、CISOやその候補となる管理職人材を置く企業は増えています。資格ではCISMやCISSPがマネジメント寄りの証明として知られています。
フリーランスとして独立する
会社の枠を外れて単価を上げたい場合は、フリーランスとして独立する道があります。人材不足を背景に、脆弱性診断やセキュリティ運用・コンサルティング系の業務委託案件は案件市場でも一定の流通があります。
実務経験を単価に直結させやすいのが、この道の特徴です。
自分のスキルを商品として説明でき、稼働や契約の管理を自走できる人に向いています。ただし収入の安定性は会社員より低く、案件が途切れるリスクへの備えは欠かせません。
将来性を高めるスキル戦略|これから伸びる4つの領域
ここまで見てきたとおり、将来性は職種全体で決まるのではなく、個人のポジショニングで差がつきます。実務3〜5年の現役エンジニアが、今の実務経験から張れる4つの成長領域を紹介します。
クラウドセキュリティ
最優先で検討したいのがクラウドセキュリティです。企業システムのクラウド移行が進む一方、クラウドの設定不備に起因する情報漏えいは代表的な事故原因になっています。
AWSやAzureの環境設計、CSPM(設定監視)による統制、IaC前提のセキュリティ設計ができる人材は引き合いが強い領域です。
インフラ・サーバー運用の経験者なら、既存スキルの延長で参入しやすいのが利点です。クラウドベンダーのセキュリティ認定資格でスキルを証明する方法もあります。
ゼロトラスト・ID管理
リモートワークの定着で、「社内ネットワークの内側は安全」という境界型防御は限界を迎えました。代わりに広がっているのが、すべてのアクセスを検証するゼロトラストの考え方です。
具体的には、IDaaSを使った認証基盤の設計、多要素認証やアクセス権限の統制、デバイス管理などが中心になります。ネットワークエンジニアの経験者は、通信設計の知識をそのまま活かせるため相性の良い領域です。
ID管理は全社システムに関わるため、上流の設計経験を積みやすい点も強みになります。
AIセキュリティ・セキュリティ×AI活用
前述のAI代替論を裏返すと、AIはこれからの主戦場です。攻める方向としては、「AIを守る」と「AIで守る」の2つがあります。
「AIを守る」は、生成AIの業務利用に伴う情報漏えい対策や、AIシステム自体への攻撃(プロンプトインジェクション等)への防御です。「AIで守る」は、AIを活用した検知・対応の自動化設計を指します。
どちらも確立された方法論がまだ少なく、先行して知見を積んだ人材が市場価値を得やすい段階にあります。
OT・IoTセキュリティ
工場の制御システム(OT)やIoT機器のセキュリティは、人材が特に希少な領域です。製造業や電力・ガスなどの重要インフラで対策の必要性が高まる一方、ITとOTの両方が分かる人材はごく限られています。
組み込み系や制御系、ネットワークの経験がある人には大きな勝ち筋になり得ます。現場設備の知識とセキュリティ知識の掛け合わせが参入障壁になるため、一度専門性を築けば代替されにくいポジションを狙える領域です。
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セキュリティエンジニアの将来性に関するよくある質問

セキュリティエンジニアの将来性について、本文で扱いきれなかった質問に回答します。
セキュリティエンジニアの需要は40代・50代でも続きますか?
年齢そのものより、スキルの陳腐化のほうがリスクです。技術動向を追い続けるスペシャリストか、経験を活かすマネジメント・コンサル型へ移るか、40代までに軸を定めておくと需要を維持しやすくなります。
経営に近い役割は、むしろ経験年数が評価されやすい領域です。
今後、セキュリティエンジニアの年収は上がりますか?
人材の需要超過が続く間は、待遇は上がりやすい傾向にあると考えられます。ただし上がり方には個人差があり、担当領域や上流経験の有無で差が開く点に注意が必要です。具体的な年収・単価の水準は、次の記事で解説しています。

他職種のエンジニアからセキュリティ領域へ移るのは遅いですか?
実務3〜5年での職種転換は遅くありません。インフラ・ネットワーク・開発の経験は、クラウドセキュリティやID管理などの隣接領域でそのまま評価されます。
まとめ
セキュリティエンジニアの将来性について、要点を整理します。
- 世界のセキュリティ人材は約476万人不足し、国内市場も年12%成長の予測(ISC2 2024年/IDC Japan 2025年)
- ランサムウェアなどの脅威は高止まりしており、防御側の需要は構造的に続く見通し
- AIに代替されるのは定型作業が中心で、判断・設計を担う人材の需要はむしろ拡大
- キャリアパスはスペシャリスト・コンサル・マネジメント・フリーランスの4方向
- クラウド・ゼロトラスト・AI・OTの4領域が、これから張る価値のある成長分野
需要データを見る限り、セキュリティエンジニアは将来性を高めやすい職種です。あとは、どの領域で市場価値を築くかという自分の戦略にかかっています。
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