フリーランスエンジニアが加入可能な保険7選!選び方も紹介

「フリーランスでも保険には入らないといけないの?」
「おすすめの保険とかってあるのかな?」

会社員と違い、フリーランスは個人で仕事を獲得する働き方のため、保険の有無や必要性がわからない人は多いですよね。

そこで、今回はそもそもフリーランスエンジニアに保険は必要なのか、その是非を入れる保険の種類も交えて紹介します。スムーズに保険加入の手続きを進めるコツも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

フリーランスエンジニアは保険加入が必須

フリーランスエンジニアは健康保険の加入が必須です。日本は『国民皆保険制度』を取り入れているため、下記いずれかの形で公的健康保険に加入しなければなりません。

  • 国民健康保険
  • 健康保険任意継続制度
  • 国民健康保険組合
  • 家族の扶養に入る

平均寿命を伸ばし医療水準を上げるのが、国民皆保険制度の目的です。健康保険に加入すると、医療費が3割負担になります。そのため、ケガや病気の際に病院を利用しやすくなるのです。

一方、健康保険に加入しなければケガや病気をした際に医療費を全額支払うことになるため、高額の支払いが発生します。

たとえば、100万円の医療費がかかった場合、健康保険の加入有無で支払う金額は約91万円も差が出ます。(年収370~770万円で69歳以下の人で算出)

健康保険に加入している場合 8万7,430円
(8万100+(1,000万-26万7,000)×1%)
健康保険に加入していない 100万円

健康保険に加入していれば、ひと月の医療費が高額になった場合に負担を軽減する高額療養費制度が利用できます。

高額療養費制度を利用することで、医療費の自己負担額が変わります。年収に応じて医療費に上限額が決められており、超えた金額を支給してもらえるのです。

このように、健康保険に加入しなければ医療費の支払いが大きな負担となります。ケガや病気は避けられません。医療費の支払いに困らないためにも、独立したら必ず加入手続きが必要です。

フリーランスエンジニアが入れる保険7選

ここからは、フリーランスエンジニアが入れる保険を7つ紹介します。

なお、上記の保険は加入が義務付けられているものと任意で入れるものに分けられます。下記に各保険がどちらに分類されるかをまとめたので、参考にしてください。

いずれかに加入が義務付けられている保険 任意で加入できる保険
国民健康保険
健康保険任意継続制度
国民健康保険組合
家族の扶養に入る
所得補償保険
賠償責任保険
労災保険

国民健康保険

国民健康保険は、他の医療保険制度に加入していない全ての人が加入できる健康保険です。
フリーランスエンジニアは、個人事業主となるため国民健康保険の加入対象になります。

国民健康保険は、2割・5割・7割と、所得に応じて適用される減額措置が特徴です。

例えば、3人世帯(夫婦、子供1人)の場合、次のような減額措置が取られます。

減額割合 給与収入
2割 295万円以下
5割 195万円以下
7割 98万円以下

一方、デメリットは所得が増えるほど保険料が高くなることです。そのうえ、前年度の所得で保険料が計算されます。そのため、前年の所得が多い場合は国民健康保険料が高額になることがあるのです。

なお、国民健康保険の加入は退職日の14日以内に市区町村役場に申請をしなければなりません。退職から14日過ぎても加入手続きは可能ですが、その間の医療費は全額自己負担になるため注意が必要です。

健康保険任意継続制度

健康保険任意継続保険制度とは、会社員時代の健康保険に継続して加入できる制度です。ただし、加入期間は2年間と定められています。

健康保険任意継続保険制度を利用できる条件は、退職前日までに健康保険に加入していた期間が継続して2ヶ月以上あることです。

健康保険任意継続保険制度が利用できれば、公的保険より保険料が安く抑えられる場合があります。なぜなら、保険料は退職時の年収で決まり、原則2年間変わらないからです。

しかし、保険料は全額自己負担になります。会社員時は会社と折半のため、急に健康保険料が高額になったと感じるのです。

健康保険任意継続保険制度への加入は、「任意継続被保険者資格取得申出書」を記入し、住所地を管轄する協会けんぽ支部に退職日の翌日から20日以内に提出します。

20日を過ぎてしまうと、健康保険任意継続保険制度の利用ができなくなるため期間に余裕をもって手続きをしましょう。

国民健康保険組合

国民健康保険組合は、会社に所属しない医者や税理士といった特定の業種で働く人が加入できる保険です。

フリーランスエンジニアの場合は、文芸美術国民健康保険組合関東ITソフトウェア健康保険組合に加入できる可能性があります。ただし、誰でも加入できるわけではありません。エンジニアの場合は従事する仕事がメインであることを証明する必要があるのです。

加入条件が厳しい一方で、保険料は年収に関係なく一定額を納めることになるため、高収入の場合はメリットが大きい保険になります。

しかし、国民健康保険組合には扶養認定がないため、学生を除き別世帯の家族を被保険者にできない点に注意が必要です。

国民健康保険組合に加入するには、健保組合で業種や加入できる都道府県を確認し、直接連絡しましょう。

家族の扶養に入る

独立し1年目の収入が130万円に達しない場合は、家族が加入している健康保険の被扶養者になる方法があります。

家族の被扶養者になれば、保険料を払うことなく健康保険への加入が可能です。ただし、被扶養者が40歳を超えると、介護保険料は自分で納めることになります。

とはいえ、独立直後で収入が少ない場合や収入が安定しない時におすすめの方法です。しかし、年収が130万を超えると自分で保険料を納める必要があることを念頭においておきましょう。

家族の扶養に入る場合は、自分で手続きをする必要はありません。健康保険の加入者が申請をするため、手続きをしてもらうように伝えましょう。

所得補償保険

所得補償保険は、任意加入の保険です。フリーランスが仕事をできない状況に陥った際、保険金として生活費を受け取れます。

独立すると、案件を獲得しなけば収入は得られません。合わせて、病気やケガ、天災などの理由で働けないこともあります。

そこで、所得補償保険に加入すると働けない期間にお金を受け取れるため、生活に困らなくなるのです。

所得補償保険に加入できるサービスと各保険料、手続き方法は次のとおりになります。どちらの保険に加入しても、年齢や職業、受け取る保険金により保険料が異なるため、事前にシュミレーションするといいでしょう。

サービス 保険料 加入の手続き方法
フリーランス協会 ベネフィットプラン(年会費1万円)の加入が必要
保険料のシュミレーション
アカウントの取得をする
アカウントへログイン後、入会申し込みをする
審査終了後、保険料を支払う
フリーナンス 月に受け取りたい金額を自分で設定が可能
保険料のシュミレーション
フリー、レギュラーまたはプレミアムの会員プランを選択し、登録を行う
登録完了後、保険料を支払う

賠償責任保険

賠償責任保険は、任意加入の保険です。情報漏洩や著作権侵害など取引先に損害を与えた際の賠償金支払いを補償します。

フリーランスエンジニアは、故意的でなくても仕事でミスをすると全て自己責任です。取引先に損害を与えると、一生涯働かないと支払えない賠償責任が発生するリスクがあります。

そのため、賠償責任保険に加入すると、多額の賠償金が発生するリスクに備えられるのです。

賠償責任保険に加入できるサービスと手続き方法は次のとおりになります。どちらのサービスに加入しても、自動付帯です。

フリーランス協会の方が補償内容が手厚く、支払い限度額が高いサービスになります。

サービス 加入条件 加入の手続き方法
フリーランス協会 ベネフィットプラン(年会費1万円)の加入が必要 アカウントの取得をする
アカウントへログイン後、入会申し込みをする
審査終了後、年会費1万円を支払う
フリーナンス 会員登録(フリー、レギュラーまたはプレミアム)が必須 フリー、レギュラーまたはプレミアムの会員プランを選択し、登録を行う
登録完了後、選択したプランの保険料を支払う

労災保険

労災保険は任意加入の保険です。2021年9月1日より、ITフリーランスも労災保険の特別加入が認められました。

労災保険に加入すると、仕事中や取引先へ移動中のケガまたは病気に備えられます。仕事中に起きた傷病に限り、保険給付金や特別支援金を受け取れる保険です。

労災保険の保険料は全額自己負担です。ただ、保険料の設定を自らできるため、無理のない範囲で加入ができます。納める保険料により、保険給付金や特別支給金が変わるため、慎重に検討しましょう。

労災保険の加入手続きは次のとおりです。

  • 所轄の労働基準監督署へ加入申請書を提出する
  • 都道府県労働局が受理し、承認してもらう

ただし、すでにITフリーランス団体として特別加入が認められた組織に属する場合は、加入者本人は団体に労災保険の加入を申し出ます。

その後、団体が『特別加入に関する変更届』を都道府県労働局へ提出する流れです。

フリーランスエンジニアが保険選びに迷ったら?

ここまで、フリーランスが入れる健康保険を紹介しました。ただ、結局どの保険に入れば良いのかわからない人もいますよね。

結論、独身で前年度の年収が260万円のフリーランスエンジニアは国民健康保険組合への加入がおすすめです。

前年度の年収が260万円の場合の各公的健康保険の保険料は次のとおりになります。

公的健康保険 月額の保険料
国民健康保険(東京都江東区に居住の場合 2万1,679円
健康保険任意継続制度(協会けんぽより) 2万2,000円
国民健康保険組合(文芸芸術国民健康保険組合 2万1,100円
家族の扶養に入る 年収130万円以上のため家族の扶養に入れない

先ほども解説したとおり、国民健康保険と健康保険任意継続制度は年収が上がると保険料も高くなります。一方で、国民健康保険組合は年収に関係なく保険料は一定額になります。

ただし、国民健康保険組合に加入できることが条件です。もし、国民健康保険組合に加入ができない場合、保険料を安くできる健康保険は次のとおりになります。(東京都江東区に居住の場合協会けんぽの計算結果より)

前年度の年収が365万円未満 国民健康保険
前年度の年収が365万円以上 健康保険任意継続制度

しかし、健康保険任意保険制度の場合は加入期間が2年と定められています。2年後に国民健康保険への加入が必要となるので注意が必要です。

健康保険の種類に関係なく、加入していれば病院等の窓口負担は変わらずに同じサービスを受けられます。そのため、保険料の安い健康保険への加入がベストなのです。

また、任意加入の保険へは可能な限り入ることをおすすめします。任意保険は万が一の際に、収入面を補償してくれるからです。

独立すると、フリーランスエンジニアは仕事の責任を全て自分で追うことになります。さまざまなリスクに備えておくと、取引先も仕事を任せやすくなるのです。

フリーランスエンジニアがスムーズに健康保険の手続きを進めるコツ

健康保険の手続きに時間や手間がかかると、案件を獲得したりスキルアップのための学習に時間を使えません。

そのため、可能な限り速やかに健康保険の手続きを完了し、フリーランスの活動に注力したいと考える人は多いでしょう。

そこで、最後にフリーランスエンジニアがスムーズに健康保険の手続きを進めるコツを紹介します。

郵送で手続きをする

フリーランスエンジニアは、郵送で手続きを行うと効率が良いです。

各健康保険の手続きを窓口で行うことは可能ですが、予約ができず先着順で順番を待つことになります。

そのため、必要書類を用意し一式を提出先に郵送すれば、窓口で待つことなく手続きができるのです。

公式ホームページや電話で問い合わせれば必要書類が分かるため、しっかりと確認しましょう。

時間に縛られることなくすきま時間でも対応が可能なため、フリーランスエンジニアは郵送で手続きを行うと時間を有効に使えます。

オンラインで手続きをする

フリーランスエンジニアは、オンラインで健康保険の手続きを行うと効率が良いです。

いつでも申請が可能なため、時間を選ばずに手続きができます。ただし、オンラインの申請にはマイナンバーカードが必須です。マイナンバーカードに記載される個人番号の入力が必要になりますからね。

そのため、マイナンバーカードを発行していない場合は、オンライン申請はおすすめできません。マイナンバーカードの作成を市区町村役場に申請し、手元に届くには1ヶ月程かかります。

合わせて、オンライン申請を行う際には、ブラウザのバージョンといった動作環境の指定があります。オンライン申請前に、アップデートをするといった準備を要する場合があるため、注意が必要です。

とはいえ、マイナンバーカードを作成していれば、自分の都合で健康保険の申請が可能なため、オンライン申請を利用すると効率よく手続きができます。

まとめ

今回は、フリーランスエンジニアが入れる保険7選を紹介しました。

独立すると、健康保険への加入が必須になります。フリーランスエンジニアが加入できる健康保険は次のとおりです。

  • 国民健康保険
  • 健康保険任意継続制度
  • 国民健康保険組合
  • 家族の扶養に入る

加入をおすすめする健康保険は、保険料が安いといった一番自分にとってメリットが大きいものです。なぜなら、どの健康保険に加入しても医療費の自己負担額は変わりませんからね。

また、任意保険へ加入すると収入面への不安や損害賠償といったリスクに備えられます。
任意保険は加入が必須ではありません。

ただ、任意保険に加入するとフリーランスエンジニアとして活動するうえで、取引先に安心感を与えられるメリットもありますよ。