「フリーランスエンジニアは個人事業税を払わないといけないのかな…」
「支払う額が減ることとかってあるのかな?」
個人事業税を支払う必要があるのか、あいまいなフリーランスエンジニアは多いですよね。
「個人事業税は払わなくてもいい」といった話も聞くため、自分が納税者に該当するのか判断できない人もいるはず。
そこで、今回はフリーランスエンジニアは個人事業税を納めるべきなのか、その対象者を納税額も交えわかりやすく解説します。個人事業税の納税方法も紹介するのでぜひ参考にしてください。
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年間所得290万円以上のフリーランスエンジニアは個人事業税の支払いが必須
結論、年間所得が290万円以上のフリーランスエンジニアは、個人事業税の支払い義務が発生します。
なお、課税所得は下記の方法で計算し、課税所得合計が290万円以上だと5%の税率が課されます。
- 売上 – 経費 – 事業主控除 = 課税所得
『事業主控除』とは、個人事業税を計算する際に固定で290万円が差し引ける控除です。290万円の事業主控除額を引いても290万円以上の利益があると課税対象になります。
例えば、売上700万・経費200万の場合、個人事業税は10万5千円です。計算方法は以下のとおりです。
- 700万(売上)- 200万(経費)- 事業主控除290万 = 210万円(課税所得)
- 210万(課税所得)* 5%(第1種業種の税率) = 10万5千円(個人事業税額)
ただ、以下の場合に限り個人事業税の申告は不要となります。
- 課税所得がマイナスまたは0円
- 所得税の確定申告、住民税の申告をした人
売上や経費の算出方法など計算するうえで不明点がある場合は国税庁に相談するのがおすすめです。無料相談を実施しているため気軽にお問い合わせしてくださいね。
フリーランスエンジニアがおさえておきたい個人事業税の基礎知識
ここからは、フリーランスエンジニアがおさえておきたい個人事業税の概要を6つにまとめて紹介します。
- そもそも個人事業税とは?
- 納税対象者
- 納税額
- 申告/納税期日
- 申告/納税方法
- 減免になるケース
そもそも個人事業税とは?
個人事業税とは、一定以上の課税所得がある個人事業者に課される税金です。
個人事業税は地方税なため、都道府県によって課される税率が異なります。そのため、詳しく税率を知りたい場合は住んでいる都道府県のHPを確認する必要があります。
納税の手続きが簡単なのも特徴のひとつ。法人税など納税の手続きが複雑な税金は多く存在します。しかし、個人事業税は所得税で確定申告をしていれば、都道府県から納税通知書が届き、それに基づいて期日までに個人事業税を支払うだけとシンプルです。
納税対象者
法律で定められた下記70業種のいずれかに従事する事業者は、個人事業税の納税対象者です。
出典元:東京都主税局
上記の70業種に該当する業種でも、契約形態ごとで個人事業税の申告が不要になるケースがあります。例えば、フリーランスエンジニアが納税対象者となるのは第一種事業の『請負業』の場合です。
そもそも、フリーランスには以下2種類の契約形態があります。
- 請負契約
- 準委任契約
請負契約とは、納品時に報酬が発生する報酬形態で、準委任契約は月の稼働時間を基準に報酬が発生する報酬形態です。
準委任契約の場合は、働く時間・場所が指定されるため、請負業には分類されません。実際、政府間でもフリーランスは明確に定義されていないため、請負業に該当しているとは言い切れないんですね。
とはいえ、解釈が分かれているため詳細は国税庁に相談すると良いでしょう。
納税額
先述したように、個人事業税の納税額は売上や経費次第で変動します。
個人事業税の納税額を算出する計算式は次のとおりです。
- 売上 – 経費 – 事業主控除 = 課税所得
事業主控除は一律290万円となっています。先ほどの事例で解説したとおり、フリーランスエンジニアで売上700万・経費200万の場合、個人事業税の計算方法は以下になります。
- 700万(売上)- 200万(経費)- 事業主控除290万 = 210万円(課税所得)
- 210万(課税所得)* 5%(第1種業種の税率) = 10万5千円(個人事業税額)
一方で以下のケースだと個人事業税の支払いは0円になります。
- 600万(売上)- 350万(経費)- 事業主控除290万 = -40万円(課税所得)
ただ、年度の途中で事業倒産している場合は、倒産した1ヶ月以内に個人事業税の申告が必要ですので気をつけてくださいね。
申告/納税期日
個人事業税の納税期日は、原則以下のとおりです。
- 第1期納期限:8月31日
- 第2期納期限:11月30日
8月に都税事務所・支庁から納税通知書が送られるためそれに基づき納税しましょう。なお、所得税の修正申告など訂正がある場合は納税通知書にある納期期日までに納税が必要です。
期日までに支払いをしないと、40%の追加徴税や刑事罰の責任を追うことになるため期限はきちんと守るのが賢明ですよ。
申告/納税方法
納税通知書を元に申告しますが、納税方法は多く存在するため自分の状況にあったものを選ぶ必要があります。
申告/納税方法 | メリット | デメリット | こんな人におすすめ |
---|---|---|---|
納付書+現金 | ・コンビニや金融機関など身近な場所で申告可能 ・不明点をその場で相談できる |
・コンビニは30万以下の納付書のみ対応 ・移動する手間がかかる |
・初めて納税する人 ・納税額が30万以下の人 |
電子納付 | ・インターネットで完結も可能 ・大きな金額でも対応可能 |
・多少のITリテラシーが必要 ・不明点があっても相談できない |
・普段忙しくて窓口にいけない人 |
口座振替 | ・自動で引き落としなため納付忘れがない ・大きな金額でも対応可能 |
・口座を指定する手続きがいる | ・申告するのが面倒臭い人 ・大きな金額を納税する人 |
なかでも電子納付がおすすめです。多少のITリテラシーが必要とはいえ、インターネットで調べながら手続きをすれば簡単にできます。また、コンビニのように30万以下の納付書までと金額に条件がないため、ほとんどの人にとって便利です。
ただ、「申告するのが面倒だな…」という方は口座振替が良いでしょう。このように、それぞれ特徴が違うためメリット・デメリットを踏まえて選んでくださいね。
減免になるケース
次の条件に当てはまると、個人事業税の支払額は減免されます。
- 課税所得が290万円以下
- 対象業種に該当しない業種
- 災害などで損害を受けた事業者
先述したとおり、個人事業税は課税所得が290万円以上を超える場合に課されます。また、対象業種は70業種です。そのため、ライターやシステムエンジニアなど該当しない業種は290万円以上の課税所得があっても個人事業税の申告不要です。
災害などで損害を受けると、その程度によっては個人事業税が減免・免税になります。詳細は国税庁に確認し調査してもらってくださいね。
フリーランスに支払い義務がある個人事業税に似た税金3つ
フリーランスエンジニアが支払うべき税金は個人事業税だけではありません。
個人事業税をおさえたところで、ここからはフリーランスに支払い義務がある3つの税金を紹介します。
- 住民税
- 所得税
- 消費税
住民税
住民税はフリーランスに支払い義務のある税金の1つです。住民税とは、住んでいる地方自治体へ納める税金で、16歳以上の全員が支払うものです。
会社員の場合は、会社が給料から住民税を天引きしてくれますが、フリーランスは自分で納める必要があります。住民税の納付額は、所得によって変わるため以下の方法で計算しましょう。
- (所得-所得控除額)×所得割税率(10%)-税額控除額
まず必要経費を抜いた所得から控除額を差し引き、10%の税率をかけます。そこから税額控除を差し引くと住民税の納付額が分かります。申告時期は、住民税の納税額を記載している書類が5〜6月頃、自宅に送られるためコンビニや金融機関から手続きしてください。
→ 所得控除になる項目をみたい方はこちら
→ 税額控除額になる項目をみたい方はこちら
所得税
所得税もフリーランスに支払い義務のある税金です。所得税とは、1年でもらった給与や売上にかかる税金で、会社員・フリーランス関わらず納税が必須です。
住民税と同様、会社員の場合は給料から所得税が天引きされますが、フリーランスだと1年間で得た収入を全て計算し、経費なども考慮したうえで所得税を自己申告します。納付期日は、原則毎年3月15日ですので忘れずに申告しましょう。
申告方法は、スマホアプリ納付や銀行の振替納税、クレジットカード納付と様々で自分のやりやすい方法を選んでくださいね。より詳しく所得税の納付を知りたい方は下記の記事をご覧ください。
→ フリーランスエンジニアの源泉徴収ガイド!申告時の注意点も紹介
消費税
消費税も忘れずに支払う必要のある税金です。消費税とは、フリーランスエンジニアの場合、クライアントに労働力を提供して報酬を得た売上に対して課税される税金です。
ただ、以下に該当する事業者は消費税を納税する必要ありません。
- 2年前の売上が1,000万円以下
- 前年度の売上が1,000万以下
フリーランスの課税期間は1月1日〜12月31日です。そのため、2年前の該当期間で売上が1,000万以下の場合、消費税を納税する義務はありません。また、たとえ1,000万円以上の課税があっても前年1月1日から6月30日までの特別期間で給与が1,000万円を超えていなければ消費税の申告は不要です。
納税方法は、金融機関か税務署、キャッシュレス納付と多くあります。納付期日は、翌年の3月31日までとなっているので忘れずに消費税を納税しましょう。
初めて確定申告する人は、実際に手続きを踏むイメージが湧かないはず。以下の記事ではフリーランスエンジニアの確定申告をSTEP形式で詳しく解説しているのでぜひご覧ください。
→ フリーランスエンジニアの確定申告ガイド!作り方から出し方まで
また、フリーランスエンジニアの税金自体について知りたい方はこちらも参考にどうぞ。
→ フリーランスエンジニアの税金はどれくらい?計算方法や節税のコツも紹介
フリーランスの個人事業税にまつわるFAQ
最後に、フリーランスの個人事業税にまつわるよくある質問へ回答します。
- 個人事業税がかからないフリーランスの業態ってあるの?
- フリーランスエンジニアができる節税対策ってある?
個人事業税がかからないフリーランスの業態ってあるの?
個人事業税がかからないフリーランスの業態は以下のとおりです。
- ライター
- コーディングをメインに実施
ライター活動をしている人で請負業として届出している場合は個人事業税の課税対象ですが、ライター業としている限り納税義務は発生しません。また、Web制作でデザインを含めて仕事をしていると個人事業税が課されますが、コーディングメインの場合は法定業種に含まれず個人事業税の申告不要になります。
システムエンジニアやライターでも、時間を基準に報酬が支払われる『準委任契約』だと個人事業税の支払いは不要となるケースもあります。ただ、支払うかどうか解釈が分かれるため詳しくは税務署にお問い合わせして相談しましょう。
フリーランスエンジニアができる節税対策ってある?
フリーランスエンジニアができる節税対策は以下になります。
- 確定申告を青色申告にする
- 日常生活の出費を経費として計上する
- 税額控除を計上する
- 所得控除を計上する
確定申告の方法は、青色申告と白色申告の2種類があります。青色申告は、損益計算書や貸借対照表が必要になりますが、最大65万円の特別控除の特典付きです。ですので、多少の手間があっても青色申告を選ぶのが賢明でしょう。
電車移動や家賃、食事代など経費にできるものはなるべく計上するのも重要です。日頃から領収書やレシートを大切に保管してくださいね。
より詳しくフリーランスエンジニアの節税対策を知りたい方は下記の記事をぜひご覧ください。
→ フリーランスエンジニアの節税対策おすすめ8選!注意点も紹介
まとめ
今回は、フリーランスエンジニアの個人事業税の対応や個人事業税の基礎知識、納めるべき税金、よくある質問まで解説しました。
フリーランスになると納める税金の種類が増え、今まで存在を知らなかったものが出てくると焦ってしまうもの。個人事業税もその1つです。
しかし、個人事業税は、以下のケースのみ支払いが必要です。
- 課税所得が290万円以上
- 決められた70業種に従事している
また、法律で決められた課税対象者でも契約形態によっては支払い義務がない可能性もあるのでこの記事を参考にしてくださいね。本記事では、フリーランスエンジニアの節税対策も紹介しているのでぜひご覧ください。